ボンジュールと書いて、こんにちは!パリ在住コトカチャレンジクラブのヒロミシュリンヌです。
シャンパンメゾンで日本と中国市場営業経験3年していたヒロミシュリンヌのシャンパン講座最終回。
第一回【概要編】、第2回【用語編】、第3回【データ編】、第4回【実践編】でまずざっくりシャンパンについてお話していますので、読んでみてください。
今回はいよいよ、シャンパン味を大きく左右するグラスのお話です。シャンパンをおいしくいただくには「知識」もあった方がいいですが、なにより、「スキル」を身につけるほうが重要かと思っています。
今回のスキルは「グラス選び」。どんなにシャンパンのことを知っていても、どんなにたくさん飲んでいても、「道具とそれを使いこなす知恵」がなければ、その価値を最大限まで堪能することは不可能です。
実際にフランス人のお宅にお邪魔して、家にある様々な形のワイングラスでシャンパンを飲み比べてみました。結果は固定概念をとっぱらうものとなりました。
この経験がみなさんが自宅やお店でおいしいシャンパンをおいしく飲んでいただけるよう、グラス選びの参考になればとてもうれしいです。
シャンパンをグラス変えての飲み比べ大会開催
以下、役者がざっとそろいました。
シャンパン
シャンパーニュ・ロンバール グラン・クリュ ブリュット・ナチュール、私がせっせと営業しつつ、よ~く飲んでいたシャンパンです。人生で一番、量をのんでいるのはこちらかもしれません。
シャルドネとピノノワールが半分づつのとてもバランスのよい、ドザージュなしのシャンパンなので、こういうテイスティングにも向いてるかなと思い選びました。
フランスだとモノプリでみつかります。
実証実験員プロフィール
フランス代表ピエールさん、日本代表は私くしヒロミシュリンヌ。
ピエールさんはパリ生まれパリ育ち、自称ブルジョワなシャンパン好きな50代男性。グラスに関しては、
シャンパン飲むなら、クリスタル製のクープがやっぱり一番華やかだし、おいしいんじゃん。僕は昔からクープ派だよ。
対するヒロミシュリンヌこと、わたくし。日本人ながらシャンパンメゾンの営業をしていたので、実はそこらのフランス人よりもシャンパンは詳しく、また飲みこなしていると自負しております。グラスに関する見解は、
シャンパングラスは昇り立つ繊細な泡を眺めるのも楽しみにひとつ。やっぱりシャンパングラスで飲みたいよね。それに、そもそも、それ用に作ったグラスでしょ?一番おいしいに決まってるじゃん。
ワイングラス
家にあるワイングラスをいろいろ引っぱり出してきました。さまざまなかたち、素材の厚みやお値段もそれぞれです。
シャンパンをのむのにおすすめグラスのランキング
ジャ、ジャ~ン!
上の役者で飲み比べた結果は以下の通りです。イケてる順に向かって左から並んでいます。
第一位 赤ワイン用のおわんのような丸いグラス
栄えある第一位は、一番左の赤ワイン用の大きなお椀のようなグラス。こちらはもう、シャンパンを注ぎ、顔を近づいけただけで、アロマが香り立つ。そして口にむくませると、すでにエレガントに開いてる。うぉ~っとなった、まさかのサプライズでした。
泡もこんな形状のグラスだとふわっと昇りたたずかなと思いましたが、ちゃんと繊細な泡の存在は確認できました。すばらしき発見。
第2位 シャンパン用のフルート
左から2番目。グラスの形を記述すると、泡の起点となるとんがりがグラス底にあり、そこからふわっと丸みを持たせ、最終的にはちょっとグラス口がすぼまっている、一世代前のシャンパングラスとも言えます。
シャンパンのテイスティングをすると、さすが馴染みのある味わいで、泡が昇り立つのを眺めるのも楽しい。1位のグラスより、酸味がやわらかく際立っていて、シャンパンらしい味わいを楽しめます。シャンパン用王道グラスは納得の第2位。
第3位 アルザスの白ワイン用グラス
なんかこのアルザス地方色溢れるグラスの透かし模様や緑の足など、ヴィジュアルからシャンパンがあわないんじゃん?とは思いますが、シャンパン自体はとても美味しく飲めます。まろやかです。
シャンパンは、まずなにより白ワインでもあるんですよね。こちらも丸い形状がいいんですね。
第4位 クリスタル素材シャンパン用クープ
次は、クリスタル素材シャンパン用クープ。見た目は美しいけれど、味わいが単純になっちゃう。一昔前のシャンパングラスの形状で、シャンパン自体はあまりおいしく飲めるわけではないですが、パーティやナイトマーケットのシャンパンタワー用の需要などで活躍中です。
フランス人のブルジョワなおたくにお邪魔すると、大体これで出てくる。雰囲気要員ですかね。
第5位 パリの街角のカフェでワインを頼むと気軽にでてくるバロン型
以外に貢献したパリの街角のカフェでワインを頼むと気軽にでてくるバロン型。あなどれない。意外とイケる。見直しました。
ワースト2
右から2番目。赤ワイン用のグラス。第1位と同じく赤ワイン用なのに、こちらはダメね。不思議。この丸いようで寸胴でまっすぐなグラスの形状が問題なのでしょうか。些細な事にも見えますが、ホントこちらだとちっともおいしくない。
栄えあるワースト1
一番右のシャンパン用のフルート。このグラスに注いだシャンパンは酸っぱいだけで、グランクリュのシャンパンが台無しです。やすっちいグレープフルーツジュースにアルコールが足してあるよう。おそるべく破壊力でした。
シャンパンがおいしくなるグラスの結論
グラスの丸みと口のすぼみ加減がポイントのよう。よいシャンパンはおおきな丸みのあるグラスで、アロマを開かせて、その香りが逃げないようなグラスがいいんでしょうね。
泡の起点となるグラスの底のとんがりは、実のところ、グラン・クリュの泡は繊細でしっかりしているので、そう簡単に喪失することもないようです。おいしいワインとして味わえるレベルのシャンパンなら、とんがりはなくても心配しなくてもいいのかも。
っという、意外な結果になりました。そして、新たな発見でうれしい。それにしても、自分自身、随分思考にバイアスかかっていたなと反省。
これからは、つねにニュートラルで、既成概念にとらわれずに新しいコトやモノを発見したい!
と、ふんどしを締め直しました。
では、並のシャンパンを飲むには?
グラン・クリュシャンパンの結果がおもしろいものだったので、翌日、並品質シャンパンで同じ実験をしてみました。
まずは並シャンパン。こんな言い方も失礼ですが、正直、あまりおいしくないものでした。アロマが乏しい。そして泡の粒が大雑把でもたもたと昇りたつ。色もゴールドさが薄い。液体としてもしゃびしゃび。
気分上がらないが、飲んでみました。
ワースト1と2は文句なしそのまま。おいしく飲めたグラスたちも、グランクリュを飲んだ時よりも、わぉ!な感動はまったくなし。そもそものシャンパンがおいしくなければ、そんなものでしょう。そして、なによりどのグラスで飲んでも味にあまり差が現れない。どれで飲んでも、それ以上においしくなることはない。
たいくつな味だったので、もっと飲みたい!にいたらず、テイスティングも半ばに、席を離れ、1時間後に戻ると、泡はほぼなし。でも、おもしろいことに、酸味ばかり引き立ったワースト1のグラスが味変わらずで、ある意味、健闘してる?
このワースト1グラスは、パーティー向きに、美味しくないシャンパンをノリで飲ませるのなら、悪くないのかも。
いままで使ったワーストワングラスは
焼酎用の素焼きタンブラー。今までに何百杯とシャンパンを飲んできましたが、ぐうの音もでなかった。こんな感じの素材でした。
なぜ、そんな機会があったかと言えば、築地の横丁の地下にある牡蠣専門店に連れて行ってもらった時に、シャンパンあけちゃおうとなって、持ち込みさせていただくことになったんだけれど、グラスがない。お店の方がこれなんでどう?と出してきたのが、焼酎用の素焼きのタンブラー。多分、お店で一番高い飲み物用の器だったんだと思う。
遠慮なくお借りしてのんだところ、まずい。シャンパンの泡を一瞬のうちに、素焼きの気泡が吸収してしまうおそろしい現実。
気泡の働きでとんがった焼酎が柔らかくなるのが安易に想像できる反面、シャンパンはこりゃあかんの極みでした。結局、ビール用のガラスのグラスの寸胴グラスほうが、まだいいねと変えて飲みました。
いつかは!わが家にお出迎えしたい!と思っているシャンパングラス
日本で何度かお目にかかり、使ってみた木村硝子さんのもの。脚部分も華奢で、でも持ちやすく、とてもエレガント。こんなグラスで飲んでいると私も影響され、みるみる同じようにエレガントになっていくきがします。
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このあたりはたっぷりサイズでいい感じの丸みとすぼみ。そこのとんがりもきれいに泡を立ち昇らせてくれそうないいグラスなんじゃないかなと思います。
まとめ
おもしろい実験&経験なので、皆さんもいろんなワインといろんなグラスで試してみてね。楽しグラン・クリュと並品質を同じグラスで飲んでも、香りも味も、なによりも気分が違います。
イベントとして、お友達や家族とグラスを変えてテイスティングしながら、わいわい楽しむのもオススメです。